研究室の様子2 [留学記]
◇研究室の様子2
マウスを用いた動物実験を始めました。
動物実験を用いた研究に携わったことがある方ならお分かりかと思いますが、動物実験を始めるためにはいろいろな教育訓練を受講することが必要です。
私の研究室では、教育訓練はすべてオンラインで受講します。内容は、いわゆる研究計画の立て方だとか、動物愛護関係だとか、ケージのラベルに関する事項だとかになります。この辺はどこも共通だと思います。
以前の所属先との違いはというと、
①職員が動物のチェックをほぼ毎日行う。
毎日のように動物チェックが入り、頭数が適切か、健康不良のマウスがいないかチェックされます。頭数オーバーだとすぐに連絡が入り、7日以内に適正化しないと施設スタッフによる適正化と罰金が科せられます。毎日健康チェックされるので、マウスにストレスがかかり、雄雌を交配させていても、なかなか妊娠しないことがあるようです。あまりに妊娠しないので別の動物実験施設に逃げていった研究室もあるそうです。また、ケージに少しでもおかしいマウスがいると、獣医によるチェックが入ります。この結果、遺伝子改変マウスなどで、せっかくマウスに表現型が現れても、健康チェックの結果、安楽死処分になることがあるようです。私が留学前に研究で用いていたマウスは体重が軽くなるので、もし現在の研究室だったら、まず研究が進まなかっただろうと言われました。
②マウスにかまれたら報告
日本ではマウスにかまれても特に決まりはありませんでしたが、ここではマウスにかまれたら報告しなくてはなりません。また、マウスによるアレルギーなどが出現した場合も同様です。日本でいう労災と同様の扱いになっています。
③防護服は非常に簡易
日本では靴を脱いで、手洗いして、上下つなぎの服に着替えなくてはなりませんでしたが、ここでは、簡易のガウンと、靴にはカバーをして入室です。退室するときはなんと室内で脱いでから退室します。清潔にはあまり気を使っていない気がしますが、でも清潔環境は非常に良いようです。
④マウストラップがない
日本の動物実験施設にはマウストラップが多くあり、逃亡防止措置が取られていましたが、ここにはありません。マウス逃亡防止設備のない実験室にマウスを生きたまま持ってきている研究者もいました。
⑤動物愛護の観点からの規制が多い
一番の違いはこの点だと思います。とにかく「動物愛護してますよー」という規則が多くあります。毎日健康チェックもこの一環です。そのほかでは、例えばマウスが一定の年齢を超えると安楽死、体重が標準体重±20%以上で安楽死などの決まりがあります。日本では広く認められている頸椎脱臼による安楽死も、特別なプロトコルでないと認められません。手術後は3日間のブプレノルフィン(レペタン)注射が義務付けられています。みんな、術後3日も経つと、注射のほうが痛いだろうと言っています。
こんな感じで、少し戸惑いながらも動物実験をしています。
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