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日米の違い 2 [留学記]

◇日米の違い 2 (医学生の進路決定)


まずは日本の医学生が医師になるまでのステップを確認しておきます。高校卒業後医学部に進学した日本の医学生は6年次にマッチングというものを受けます。これは医学生の行きたい病院と、研修医を受け入れたい病院がお互いに希望を出し合い、医師臨床研修マッチング協議会が研修医の配属先を決定するというものです。各病院はマッチング前にテストと面接を行い、希望者の順位付けを行います。卒業前に医師国家試験を受験し、合格すれば医師免許が交付され、卒業後は初期研修医として2年間の内科外科等の研修を行い、その後各専門科に進みます。


アメリカでは、ハイスクール卒業後、4年生のカレッジに進学します。その後医師を志す人はメディカルスクールに進学します。メディカルスクールは4年です。アメリカにもマッチングシステムが存在します。4年次に行きたい病院の診療科に対して願書を出します。アメリカでは日本のような、一斉に進路が決まるというシステムは存在しません。応募期間は比較的長く、診療科の担当者は願書の中から候補者を選び、面接をして内定をもらうようです。人気病院の人気診療科は何百という願書を処理しないといけないようです。


さて、アメリカでは何科が人気なのでしょうか。下図を見てください。

barry-jester-feature-medicalmatch.png


点が右にあるほど医学生が希望する科に進めたこと、左にあるほど希望が叶えられなかったことを意味します。


一番競争率が高いのはPlastic surgery(形成外科)、次にOtolaryngology(耳鼻咽喉科)、そのあとDermatology(皮膚科)、Orthopedics surgery(整形外科)、Neurological surgery(脳神経外科)と続きます。Ophthalmology(眼科)がなぜないのかは気になりますが、眼科も人気診療科だったはずです。赤い点はアメリカ国内のメディカルスクールに在籍する医学生のマッチ率、青い点は海外の医学部に在籍する医学生のマッチ率です。海外の医学部にいるアメリカ人と、アメリカでの研修を希望する外国人が含まれます。アメリカのメディカルスクールの学費が高すぎるので、相当数のアメリカ人が海外の医学部で学んでいるそうです。


日本では初期研修を修了すると、自分の意志で何科を専攻するか決めることができます。しかしアメリカでは専攻を決めてからマッチングを行うので、○○科医になりたいのになれないということが起こります。形成外科医には希望者の70%程度しかなれません。


このように、競争率の高い診療科に進もうと思うと必然的に必要になってくるのがコネです。下図はコロンビア大学整形外科のレジデント募集要項よりの抜粋ですが、当然のように推薦状と書いてあります。


Columbia U orthopedics.PNG


学業成績は自己努力で何とでもなりますが、推薦状だけはどうにもなりません。またResearch and publicationも研究室に所属しないとどうにもなりません。


ここで起こるのが医学生による研究とそれを通じた推薦状の取得です。


知り合いの研究者は運動器系のラボで研究しているのですが、非常に多くの医学生が研究に来ていて、しかも皆驚くほどモチベーションが高いそうです。さもありなん。人気診療科である整形外科医には75%しかなれません。皮膚科のラボでも、同じようなことがおこっているようです。→こちら


またこんな話も聞きました。高名な医師は女子医学生と一晩を共にすることも多いのだとか。


アメリカの医学生は大変だと思います。ようやく希望する診療科に入れても、多くのレジデンシープログラムは5年です。その後フェローになりますが、それでもまだ見習いのようなものです。アメリカで医師として満足に稼げるようになるにはかなり時間がかかるようです。




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