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アメリカで確定申告① [税]

◇アメリカで確定申告①






毎年4/15(今年は4/17)はアメリカの確定申告締め切り日です。この日までにすべてのアメリカ人やアメリカから所得がある人は確定申告をします。


私も先日、初めて確定申告をしました。


さて、確定申告に関して、まず何を書こうかと考えてたのですが、まずはアメリカの税法の基礎、留学生の立場、日米租税条約について書いておこうと思います。なぜかと言えば、確定申告の書類を用意するのに、まずここで躓いたからです。


なお、税理士等に確認して、正確性を期して記載しますが、税法は絶えず改正されているので、必ず最新の情報を確認し、不明点があれば税理士に確認してください。(内容に関して間違えがあっても責任を負いかねます。)


①アメリカ税法の基礎

 日本は日本国内で発生した所得に対してのみ課税します。アメリカは違います。アメリカ市民は全世界の所得に対してアメリカ政府から課税されます。したがって、アメリカ人は、世界のどこに居住していようとも確定申告をしなくてはなりません。翻って、海外で暮らす日本人が日本に確定申告をする必要は、多くの場合ありません。

 アメリカの税法では、①-1 Resident US citizen (アメリカ居住のアメリカ市民(またはグリーンカード所有者))、①-2 Non-resident US citizen (アメリカ非居住のアメリカ市民(またはグリーンカード所有者))、②-1  Resident alien (アメリカ居住の外国人)、②-2 Non-resident alien(アメリカ非居住の外国人)に区別しています。

 アメリカに赴任あるいは留学する人は②-1か②-2に該当します。企業から就労ビザで渡米する人は最初から②-1に該当します。

 多くの人が混乱しているのはFビザまたはJビザ保有者の扱いです。なぜ混乱するのかというと、のちに述べる日米租税条約と関係があります。

 アメリカ国内法により、「Jビザ保有者は2年間、Fビザ保有者は5年間、非居住外国人として扱う(正確にはsubstantial residence testを適応しない)」という規定があります。注意したいのは、ここでいう年間とはカレンダーイヤーのことで、Jビザ所有者は2018年に入国した人は何月に入国しようが2019年12/31まで非居住者外国人となります。

 特にアメリカで給料を得ているJビザ保有者に関わる事ですが、別の規定があります。それが日米租税条約です。日米租税条約第20条1項に、「研究または教育で報酬を得ている者は入国日から2年間、租税を免除する」と規定されています。2018年4/1に入国した人は2020年3/31まで免税ということです。

 この二種類を混同し、多くの間違った情報が流れているようです。例えば「租税の免除は1年後の12/31まで」だとか「2年間は免税だが、その後は30%の源泉徴収される」だとか。

 正確には「1年後の12/31までは非居住者だが、1/1からは居住者になる。租税は2年間は免除となる。」となります。


 例:2018年4/1にアメリカ入国したJ-1ビザ保有の人

 2019年12/31までnon-resident alien、1/1からresident alien。⇒official HP


  J-1ビザ保有者はずっと非居住者で2年目以降は税金負担が大きくなると書いている人もいますが、誤りだと思われます。

 正しくは、2カレンダーイヤーは非居住者で、渡航前の日本での給与を申告する必要なし。入国日から2年間、研究報酬に対して免税(注:後述参照)。2カレンダーイヤー後から居住者扱いとなり研究報酬に関しても納税義務が生じるが、アメリカ市民と同様の控除が申請可能。

  この件については米国会計士の若菜さんに確認しました。(アメリカの確定申告については、この方のHPが最も詳しいと思います。)


②税法上のステータス

  企業からの赴任ならResident alien、JビザFビザならNon-resident alienになることが多いです。多いですというのは、渡米までの経由国によっては2年間ルールが適応されなかったりします。税法上のステータスによって、提出する書類が異なります。実際の確定申告書類の内容は次回。


③Resident alienとNon-resident alienの違い

  Resident alienは各種控除が可能ですが、Non-resident alienはほとんど控除が使えません。Resident alienは全世界の所得について課税されますが、Non-resident alienはアメリカ国内の所得のみ申告すれば良いです。ちなみに、日米租税条約20条を申請する人が多いと思いますが、研究や教育に対する対価についてのみ免税で、それ以外のアメリカ由来の所得、例えば株や不動産所得などは30%課税されますので注意してください。(租税条約が複雑なので、必ずしもこの通りではありません。)


④日米租税20条について

  この条文をよく読むと、留学先で2年間免税になる条件として、本国で引き続き「居住者」であることが求められています。他方、日本国の法令は、1年以上海外に滞在する個人に対し、住民票を抜くように(非居住者になるように)求めています。厳密にこの条約と法令を解釈すると、この条文が適応されるのは留学期間1年未満の超短期留学生に限られることになります。日米租税条約と日本国内法に齟齬がある点だと思いますので、2年間免税は法学的にグレーゾーンと申し上げておきます。なお、このページによると、今後の改正で20条は改正される見込みだそうです。(←そうなると、留学生の税負担が大変なことになりそうですが…)

  

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