◇女性医師問題
東京医科大学が入学生の選抜にあたり、女性の割合を制限していたことが世間を賑わせています。
多くの論評は、女性差別はけしからん、病院は働き方改革が足りないといった内容が殆どです。中には
西川史子先生のように、女性制限は当たり前と真逆の主張をする人もいますが。
中には
この記事のように、女性医師の働く環境が整っていない現状を、女性医師率の高いヨーロッパと比較して論評する人もいます。
多くの論評で欠けている視点は、日本の医療制度の特殊性の理解と経営者の視点です。
今回問題になったのは東京医科大学という私立大学です。私立大学である以上、入学者が将来的に大学病院で勤務してくれることを入試の段階から期待しているはずです。
1.医療機関のサービスに対する対価(診療報酬)は完全に政府によって全国一律に決められています。
2.国の財政が逼迫しているという理由から診療報酬はギリギリの水準に抑えられています。
3.このため、医療機関の利益率は1.8%と100均ショップ以下です。
4.OECD平均と比較して、患者の医療機関受診回数、病床数は多く、医師数は少なくなっています。
この事実からいえるのは、「医師一人当たりの外来担当患者数、担当病床数が多いのにほとんど儲からない」という事実です。究極の薄利多売です。
病院も営利団体ですから、どうすれば儲かるか考えねばなりません。経営者の視点に立てば、
①儲からない部門を閉鎖する。(少子化の時代、小児科や産科は最初の削減対象です。)
②人間ドックや美容形成など、自由診療部門を開く。
③医師一人当たりの患者数を増やす。
といった対策をすると思われます。
③の対策をするにあたって、良いか悪いかは別にして、多くの家庭で女性が家事育児の中心的な役割を担うという日本の家族システムを考慮に入れた場合、男性医師の方が都合が言い訳です。薄利多売の病院経営を考えた場合、欠勤なく長時間働いてくれる人が必要だからです。
かく言う私も留学前は臨床医でしたが、有給など取ったことがありません。
医師の働き方改革に言及している人は多いですが、そもそも国の医療保険制度から改めないと、病院がつぶれることになるわけです。薄利多売のビジネスモデルが崩れますので。
断っておきますが、私は東京医科大学の件は良くないことだと思います。男女の入学者数に差をつけなければならないほど、国の医療保険制度には病院経営におけるリスクが存在しているため、国の制度から変えなくては医師の働き方改革はできないという主旨です。
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